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ランボー〜翻訳草稿詩篇

眩 惑

 
我が心よ、これは何だ? 血の卓布
燠の卓布。千・殺戮の卓布、すべての秩序が地獄堕ちせし
狂えるながき叫びの卓布、
さて北風はこともなくそが残骸の上を往き過ぎる、
 
復讐ってのか?――つまるめえ!……だってもね、
やれさ事業家、国王や、また元老院。
倒せよ、権力、正義と歴史。くたばらしちめえ!
してそれからだ、血だ血だ金の赤い焔だ。
 
戦い、仇討、恐懼のすべて。
わたしの意(こころ)は傷口でまわるわ!
失(う)せろい!
騒ぎよ国王よ、
 
連隊、移民、また人民。沢山だ!
誰か起すか、我ら及び四海の
我らが兄弟躁暴旋渦を?
我にとりては可笑しきやからの、それそれ我を喜ばせんと、
――旅行の仕儀でもあるめえな、おお波、火の波!
 
欧洲、亜細亜、亜米利加の、亡びもゆけよ。
我らが呪いの旗挙げは、
町に田畠に! 砕けよや砕けよや!
火山よ飛べよ、海打てよ!
 
おお我が友よ!――そは確かなり彼らわが血肉!
知れざる闇よ、とまれ我ら行くなり!
おおこの凶運! 我が身ぞ慄う、老いたる地球よ、
やがてはわれの汝(なれ)にまで、地の底の底!
        ―――
(無義。其の処にありぬ、我常にも其の処にありぬ。)
 
   ※とにまれ、とにもかくにもなり。
 
 
 
 
 
 

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