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ランボー〜ノート翻訳詩

2014/02/05

谷の睡眠者

 
これは緑の窪(くぼ)、そこで小川が
銀の小草に烈しく沫(しぶき)して歌う、
其処に陽は、矜(ほこ)りかな山の上から
矜らしげな山から太陽は、それに反射(いかえ)す、
泡立つ光の小さな谷。
 
若い兵卒、口を開いて無帽で
露ある草に頸条を
空の下の草地に倒れて眠る、
光の泪する緑の床に蒼ざめて
 
踝(くるぶし)を、水仙菖の中に、彼は眠る、微笑んで、
病児の如く微笑んで、彼は深い夢に入ってる。
自然は彼をやさしくあやし、彼は冷たい!
 
いかな香気も彼の鼻腔にひびきなく、
太陽の中に彼は眠る、手を静かな胸に置いて、
二つの血ぬれた穴を、右の脇腹に持って。
 
 
 
 

ソネット

 

       七十の仏蘭西人、ナポレオン主義者、共和党員、
       九十二年に於けるあなたがたの父親達を思い起す
       が好い……    (Paul Cassagnac.Le Pays.)

九十二年と九十三年との死者たち
自由の強き接唇に蒼ざめはてし、
鎮めよ、
汝等が木靴の下(もと)に。

嵐の中にて大いなる恍惚を知る人、
あなたがたの真情は襤褸の下の愛で翔ける、
おお、『死』の播いた兵卒、それらを再生せしむべく
古き畑を与うなる高貴な情人、死。

汚されたすべての名誉を血をもて濯いだあなたがた、
ヴァルミィの死者、フルールの死者、イタリイの死者、
優しき蔭ある眼(まなこ)の千のキリストよ、

共和の名に於て我々はあなたがたを眠らせよう、
棒杭の前での如く国王の前に跪く我々に、
カサニャックの同勢はあなたがたのことを想い出させる!
 

 

 

 

 

 

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失われた毒薬(旧訳)

 
ブロンドとまた褐(かち)の夜々、
思い出は、なくなった、
夏の綾織(レース)はなくなった、
手なれたネクタイは、なくなった。
 
露台(バルコン)の上に茶は月が
漏刻(ろうこく)が来て、のんでゆく。
いかな思い出のいかな脣趾(くちあと)
ああ、それさえものこっていない。
 
青の綿布(めんぷ)の帷幕(とばり)のすみに
光れる、金の頭の針が
睡った大きい昆虫のよう。
 
貴重な毒に浸されたその
細尖(ほさき)よ私に笑みまけてあれ、
私の臨終(おわり)にいりようだ!
 
 
 
 

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