開いて、いるのは、
あれは、花かよ?
何の、花かよ?
薔薇(ばら)の、花じゃろ。
しんなり、開いて、
こちらを、むいてる。
蜂だとて、いぬ、
小暗い、小庭に。
ああ、さば、薔薇(そうび)よ、
物を、云ってよ、
物をし、云えば、
答えよう、もの。
答えたらさて、
もっと、開(さ)こうか?
答えても、なお、
ジット、そのまま?
一九三四、一二
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冨倉の尻を小さくし
冨倉より軽い下駄をはかせ
もっと色男にすると十一谷がホーフツする
それから、冨倉から所労なる言葉を吐く口付をやめさせるのだ
その意味で、倉のような苦労が十一谷にはない。
だから彼の小説も、冨倉が思う半分の苦労もいっていないのだけれどそれを冨倉御存知ない
大学生諸君に分らないさ、そんなことは
こんなことは言われて気付くだけさ
それは分ってることじゃない。
そんな所へも表現出来てないものはって言ってやったらみんな顔色はない
*
自ら萎(しぼ)むことは
物体に対する観察眼を鈍らせるものだ、何時の間にやら彼は自分をせまくしてることを知らない。
おおおんみよ
人にうちのめされる人間は
或はもっと御身より幸福だ
*
自ら間在的な性質に甘んじてる奴のやりざまは
威張って歩く奴よりは悪い
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降る雪は
いつまで降るか
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秋の日の吊瓶落としや悲しさや
戦い終わり、蒼然と
人々起てば、新聞紙
・・・・・・・・・
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かぎりなく、わたしはさびしく、このごろは、暮しております。
年々のこと、このころになれば、さびしいのですが、
いいえ、もともと、さびしい女なのですが、
今年(こんねん)のさびしさは、また格別でございます。
お聞きあそばせ、わたくしことは、
・・・・・・・・・・・・・・・
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3
霞とうごき、月影に、とおくゆすれて、
われらが愛はでごのみ、風にもつれて、
・・・・・・・・・・・・・・・・・
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恋しくば 訪ね来てみよ ほととぎす
(一九三五・五・二四)
コンスタンのアドルフ読みぬ秋の暮
(一九三六・一〇・一一)
えらそうな看手が女房のひがごころ。
鉛筆が一本あれば歳が明け。
(一九三七・四・二九)
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いろいろととやこう云われ、夜はくだち、
夜の明け方に明星をみた
明星はかなしくかすみ暁風に
雲の彼方で吹かれ吹かれていた
その光うすれ風吹く夜明け方
天の御国に雲ははたたく
(一九三四)
みの虫がかぜに吹かれておれりけり
かくして秋は深まりけり
(一九三六・一〇・一一)
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