ー室生犀星ー
雨さえふれば
なめくじのさんぽです。
なにがたのしいのか
にんげんにもこわがらずに
へいきになめくじはあるいています。
よく見ていたら
なめくじは苔(こけ)をたべている、
苔はおいしいのか
雨さえふればなめくじのさんぽです。
なるべく日あたりのわるいところを
学者のような顔をしてさんぽです。
さんぽしながら本を読むのでしょうか。
(「動物詩集」より)
<ぜひ読んでおきたい! 心に残る短い詩>
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