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鯛(たい)のうた

ー室生犀星ー

鯛はむつかしい顔をしている。

にがりきっている。

すこし きびしいような顔です。

からだががっしりしていて、

尾もひれも

ぴんとしているからえらそうに見える。

お祝の日にさっそく出て来て、

いばりかえってお皿の上でねている。

鯛のかわりになるようなさかなはいない。

だから 昔から鯛は

そりかえって いばっている。

いまに 頭と尾とがひっついてしまうでしょう。

 

(「動物詩集」より)

<ぜひ読んでおきたい! 心に残る短い詩>

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