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ー室生犀星ー

卵をじっと見ていると
お母さんがおもい出されてくる。
どこがお母さんと卵が似ているのか、

お母さんんが似ているのか、

卵が似ているのか
卵を手にとって見ると

まんまるくて懐かしく、

少しおもくて何やら悲しい、

なぜかといえば、

卵がお母さんにならないから。

きょうも

卵を見ていると

お母さんのどこかに似ている。

 

(小説「乙女抄」所蔵「東京詩集」より)

<ぜひ読んでおきたい! 心に残る短い詩>

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