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ー伊東静雄ー
くらい海の上に 燈台の緑のひかりの
何というやさしさ
明滅しつつ 廻転しつつ
おれの夜を
ひと夜 彷徨(さまよ)う
そうしておまえは
おれの夜に
いろんな いろんな 意味をあたえる
嘆きや ねがいや の
いい知れぬ………
ああ 嘆きや ねがいや 何というやさしさ
なにもないのに
ひと夜
燈台の緑のひかりが 彷徨(さまよ)う