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末黒野

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つばくろ

ー高祖保ー

雨………

 

門を暗くして、ひとは潜る。昆虫はゆき、またかえる。門を暗くして紛れ込む両伯のたぐい。――このグリィンを濡らした、微粒の賊!

 

ことし首夏。まだわかい燕のつがいが巣くった門。

ひもじい愁いをば霊台に薫じて、門を潜り、ひもじい愛慾の層をば、身うちにかき濁して、グリィンにしぶく雨に濡れて出る。

 

雨………

 

美しく蓑と傘とを棄てた。

晴ればれと、かえる燕。雨のなかに、汚れた道がけぶり、道の見付に、亭い門。その門を凌ぐ一双の菩提樹(リンデン)。いな、身の薄いひもじさに悶えながらに、ひとがおり、そのひとの後ろのグリィンに、やはり、門を暗くする雨が煙(けぶ)る。

 

 

雨………

 

門を翔けぬける、一羽の燕の、飜転。その姿は緑海(りょくかい)に消える。(わたしも飛び込もう。燕よ。とめだてしないでおくれ。あのさむく黝(くす)んだ葉緑の海の、ただなかへ!)

 

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