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ー小熊秀雄ー
東京駅は
ウワバミの
燃える舌で
市民の
生活を呑吐(どんと)する
玄関口、
朝は遅刻を怖(おそ)れて
階段を一足(いっそく)とび
夕は
疲れて生気(せいき)なく
沈黙の省電に乗る
所詮(しょせん)、悪蛇(あくじゃ)の毒気(どくけ)に触れて
人々の
痲痺(まひ)は
不感症なり。