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この闇(やみ)のなかで

ー立原道造ー

この闇のなかで 私に

うたえ と呼びかけるもの

この闇のなかで だれが

うたえ と呼びかけるのか

 

時はしずかだ 私らの

ちいさいささやきに耐えぬほど

時はみちている 私らの

ひとつの声で 溢れ出るほど

 

とおい涯のように闇が

私らを拒んでいる つめたく

身体は 彫像のようだ

 

しかし すでに この闇の底に

信じられない光が 信じられる

私らの声を それは 待っている!

 

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