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ー小川未明ー
鳥屋(とりや)の前に立たったらば
赤い鳥がないていた。
私は姉(ねえ)さんを思い出す。
電車や汽車の通ってる
町に住んでる姉さんが
ほんとに恋しい、なつかしい。
もう夕方か、日がかげる。
村の方からガタ馬車が
らっぱを吹いて駆けてくる。
鳥屋の前に立ったらば
都(みやこ)の方をながめると、
黒い煙が上がってる。