カテゴリー

« 栗の花 | トップページ | 再 生 »

秋の野の風景

ー荒井星花ー

まるい春に秋の入陽を

一ぱいにあびて

親しそうな老夫婦は

澄み切った小川の流れに

たくさんの大根を

ごしごしごしと

洗っていた

 

『婆さんや、俺達の丹精はほんとうにえいれもんだ、どうだいこの太いことは』

『ほんとうにていしたもんだな、爺さんや』

ごしごしごし

真青な切れ切れた大根の葉は

浮いたり沈んだりして

川下へ流れてゆく

 

 

« 栗の花 | トップページ | 再 生 »

短くて心に残る詩」カテゴリの記事