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ー荒井星花ー
まるい春に秋の入陽を
一ぱいにあびて
親しそうな老夫婦は
澄み切った小川の流れに
たくさんの大根を
ごしごしごしと
洗っていた
『婆さんや、俺達の丹精はほんとうにえいれもんだ、どうだいこの太いことは』
『ほんとうにていしたもんだな、爺さんや』
ごしごしごし
真青な切れ切れた大根の葉は
浮いたり沈んだりして
川下へ流れてゆく