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ー伊東静雄ー
あけがた
眠りからさめて
初蟬をきく
はじめ
地虫かときいていたが
やはり蝉であった
思いかけず
六つになる女の子も
その子のははも
目さめいて
おなじように
それを聞いているので
あった
軒端のそらが
ひやひやと見えた
何かかれらに
言ってやりたかったが
だまっていた
(「伊東静雄詩集」岩波文庫より。現代仮名遣いに改めました。)
<ぜひ読んでおきたい! 心に残る短い詩>