ー山之口貘ー
はじめて会ったその人がだ
一杯を飲みほして
首をかしげて言った
あなたが詩人の貘さんですか
これはまったくおどろいた
詩から受ける感じの貘さんとは
似ても似つかない紳士じゃないですかと言った
ぼくはおもわず首をすくめたのだが
すぐに首をのばして言った
詩から受けるかんじのぼろ貘と
紳士に見えるこの貘と
どちらがほんものの貘なんでしょうかと言った
するとその人は首を起こして
さあそれはと口をひらいたのだが
首に故障のある人なのか
またその首をかしげるのだ
<ぜひ読んでおきたい! 心に残る短い詩>
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