ー千家元麿ー
幸福は
鳥のように飛ぶ。
自分の内から羽を生やして飛んで居る。
それをとらえよ。
空中にそれをとらえよ。
暖にそれをとらえよ。
手の内でも啼(な)くように。
幸福はとらえるのが難しい
とらえても手の中で暖みを失い
だんだん啼かなくなって死んでしまう。
幸福は追うな、とらえようとするな
そのままにしておけ。
人間の冷たい手をそれに触れるな。
人間の息をそれに当てるな、
清淨な空気にそれを離してやれ。
それを追うな。
遠く消えて行っても心配するな、
幸福のみは
神の手にあれ、
生き暖き神の手にあれ
よみがえし給うは神の息のみ
清淨な風と火の業にあれ。
<ぜひ読んでおきたい! 心に残る短い詩>