« 灯 | トップページ | 一本のガランス »
ー大野百合子ー
この頃の夕方は なにからなにまで 蒼っぽいしめりを含んでいるように しっとり落ちついて 默っていると 默っていることに苦しくなり どこまでも歩いて行きたい気がする 子供達の晴れやかな聲(こえ)にまじって やさしい女の物賈りの聲(こえ)など聞えて来る 美しい切花を乗せた車が もう夜店へ出かけて行く しかもその花の一つ一つは 蒼い露を含んで 車の上でホロホロしている
<ぜひ読んでおきたい! 心に残る短い詩>