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静かさの中で

ー大野百合子ー

珍らしく暖かいので

妹をつれた私は

かなり歩いてしまった

小さい山の斜めに坐ると

まだ青くならない草と土の馨(かお)りがする

空はどうしてこんなにも高いのだろう

風はそんなにつめたくもなく吹いて来る

私は深い静かさにつつまれて

思うともなく

見るともなく

いつまでも坐っていた

私は私の心がきれいになって

静かなものにまざまざと触れ
なにか知りたいと思っていたことをはっきりと知った気がした

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