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鴎(かもめ)

ー三好達治ー

ついに自由は彼らのものだ

彼ら空で恋をして 

雲を彼らの伏床(ふしど)とする

ついに自由は彼らのものだ

 

ついに自由は彼らのものだ

太陽を東の壁にかけ 

海が夜明けの食堂だ

ついに自由は彼らのものだ

 

ついに自由は彼らのものだ

太陽を西の壁にかけ 

海が日暮れの舞踏室だ

ついに自由は彼らのものだ

 

ついに自由は彼らのものだ

彼ら自身が彼らの故郷 

彼ら自身が彼らの墳墓(ふんぼ)

ついに自由は彼らのものだ

ついに自由は彼らのものだ

一つの星をすみかとし 

一つの言葉でこと足りる

ついに自由は彼らのものだ

 

ついに自由は彼らのものだ

朝やけを明日の歌とし

夕やけを夕べの歌とす

ついに自由は彼らのものだ

<ぜひ読んでおきたい! 心に残る短い詩>

三好達治詩集 (ハルキ文庫)
三好 達治
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