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壁の中につっ立っている男

ー萩原恭次郎ー

奇怪なチャルメラを吹いて支那人がゆく

乾からびたインキで描かれた食慾

刑事室には蒼白な人像が反映する

探偵のノート・ブックには惨劇がうつった

むき出された乳房に注射している地下室

頭蓋骨が腐る患者

女よ!

砕かれたインキ瓶とって突進する

キリキリ 廻ってどこで叩きつかるか知れない

ひきさかれた姦淫の旗は真赤だ!

壁の中につっ立っている男

キ キ キ

(萩原恭次郎「死刑宣告」(日本図書センター)Wikisouceより。現代仮名遣いに改めました。)

<ぜひ読んでおきたい! 心に残る短い詩>

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