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怒(いか)れる 相(すがた)

ー八木重吉ー

空が 怒っている
木が 怒っている
みよ! 微笑(ほほえみ)が いかっているではないか
寂寥、憂愁、哄笑、愛慾、
ひとつとして 怒っておらぬものがあるか

ああ 風景よ、いかれる すがたよ、
なにを そんなに待ちくたびれているのか
大地から生まれいずる者を待つのか
雲に乗ってくる人を ぎょう望して止まないのか

(八木重吉「秋の瞳」青空文庫より。現代仮名遣いに改めました。)

<ぜひ読んでおきたい! 心に残る短い詩>

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