カテゴリー

« 群集の中に | トップページ | レールの下の生活 »

鮭と人間の価五十銭也

ー萩原恭次郎ー

赤いレッテルには

北海道産の鮭と人間一匹の価

金五十銭也

 ——せっぱつまった蟻は

 ——蟻地獄において悶き乍ら食われ行く

 ——油のきれた機械は

 ——空廻りばかりしている

 ——円錐形の底の方に

 ——とうとう這い上れない屍が

 ——天上へ眼を向けてころがっている

赤いレッテルには

北海道産の鮭と人間一匹の価

金五十銭也

(萩原恭次郎「死刑宣告」(日本図書センター)Wikisouceより。現代仮名遣いに改めました。)

<ぜひ読んでおきたい! 心に残る短い詩>

« 群集の中に | トップページ | レールの下の生活 »

短くて心に残る詩」カテゴリの記事