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2014/11/13

福永武彦の「氷島」支持論/三好達治以外の文庫版解説ー101

中公文庫の「日本の詩歌14 萩原朔太郎」の初版が出たのは
1975年(昭和50年)1月のことでした。

萩原朔太郎が書いた詩のほぼ全篇が
詩人であり作家である福永武彦の精細な鑑賞と解説つきで
文庫本に収録されました。

三好達治の「萩原朔太郎」から
10余年後のことでした。

福永の「萩原朔太郎」は
「氷島」を支持する立場からの評価であり
一般読者が入手し易い文庫本に
初めて三好達治以外の解説者が登場したということだけでも画期的でした。

そればかりでなく
マチネー・ポエチックという系譜の実作者・詩人の眼差しが
詩篇に関しての読みの「鋭さ」や「繊細さ」「深さ」という形で
随所に現われる名品となっています。

同文庫のあとがきとして書かれた「詩人の肖像」は
はじめ「意中の文士たち 上下」(人文書院、1973年)に
「萩原朔太郎の肖像」のタイトルで収められていたものが
そのまま収載されたものでした。

「『氷島』の問題」と題する章で福永は

私は「郷土望景詩」と「氷島」とは同じ詩境に位置しているものと取りたいが、たとえば三好達治のように、「郷土望景詩」を「この詩人の最高頂点を示す」と言い、「氷島」を「声韻のかすれ乱れた頽廃期以後のもの」とみなす論者もいないわけではない。しばらく私の流儀で行くことにする。

――と記して、
独自の「氷島」論を書き出します。

そして末尾の「『氷島』の詩語」という章では、

『氷島』はこの詩人が詩語としての日本語を開拓するために悪戦苦闘した結果、晩年の詩的世界を表現するために発掘した独特の文語体から成っていて、それはやはり朔太郎のほかには書けなかった世界なのである。

――と記しているところは
(ほかにもありますが)
三好の「氷島」否定への反対論になっています。

面と向かってはいませんが。

福永武彦の「氷島」論および詩篇の鑑賞を
しばらくひもといていきましょう。

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