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愚行告白/「つみびとの歌」

「つみびとの歌」を献呈している阿部六郎については
阿部が残した日記に
この詩を制作した動機と推測される
かなり直接的で具体的な記述があり
それを読まないでは語れないようなものがあります。

が……。

はやり詩を読むことが先決でしょう。

「みちこ」の章5編の
最終詩です。

つみびとの歌

       阿部六郎に

わが生(せい)は、下手な植木師らに
あまりに夙(はや)く、手を入れられた悲しさよ!
由来(ゆらい)わが血の大方(おおかた)は
頭にのぼり、煮え返り、滾(たぎ)り泡だつ。

おちつきがなく、あせり心地(ごこち)に、
つねに外界(がいかい)に索(もと)めんとする。
その行いは愚(おろ)かで、
その考えは分ち難い。

かくてこのあわれなる木は、
粗硬(そこう)な樹皮(じゅひ)を、空と風とに、
心はたえず、追惜(ついせき)のおもいに沈み、

懶懦(らんだ)にして、とぎれとぎれの仕草(しぐさ)をもち、
人にむかっては心弱く、諂(へつら)いがちに、かくて
われにもない、愚事(ぐじ)のかぎりを仕出来(しでか)してしまう。

(「新編中原中也全集」第1巻・詩Ⅰより。「新かな」に変え、一部「ルビ」を加えました。編者。)

はじめに飛び込んでくるのは
「下手な植木師」――。

その、詩人自身ではない何者かによって
「あまりに夙(はや)く、手を入れられた」ために
「行いは愚(おろ)か」
「愚事(ぐじ)のかぎりを仕出来(しでか)してしまう」
――と自分の愚行を後悔し原因を解き明かし告白する詩です。

何をしたのか。
愚行の具体的な内容は歌われません。

手を入れられた悲しさ
わが血の大方(おおかた)
おちつきがなく
あせり心地(ごこち)
外界(がいかい)
考えは分ち難い
あわれなる木
粗硬(そこう)な樹皮(じゅひ)
追惜(ついせき)のおもい
懶懦(らんだ)
とぎれとぎれの仕草(しぐさ)
心弱く
諂(へつら)いがち
――などと抽象表現(内面表現)に満ちています。

抽象的であることによって
「つみびと」の「罪」を彫りあげます。

献呈した阿部六郎には
それですぐに通じたのでしょう。

「白痴群」最終号である第6号に発表された
全13篇の一つです。

制作は
昭和5年(1930年)1月から2月と推定されていますが
初稿は昭和4年の可能性もあります。

このころ渋谷署に連行され拘留された事件がありました。
また長谷川泰子とかつて出会い暮らした京都へ旅行しました。
また成城学園の阿部の同僚への乱行がありました。
(「新全集」)

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