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ループする悲しみ/「汚れっちまった悲しみに……」その4

一発目のパンチは
「汚れてしまった」「悲しみ」の2語(の結合)が放つ
広告のキャッチフレーズのような「意味のインパクト」。

それとほぼ同時もしくは少し早いタイミングで
ルフランや語呂・語感やリズムの
「音(感覚)のインパクト」で鷲づかみにされる。

「汚れっちまった悲しみに……」は
詩(うた)世界の中に
まず人を引きずり込んでしまいます。

意味が紙一重で
音(楽)に呑まれる――。

では、意味は曖昧(あいまい)になったかというと
そうではない。

曖昧なのではなく
謎ではあります。

それでますます
吸い込まれます。

汚れっちまった悲しみに……
 
汚れっちまった悲しみに
今日も小雪の降りかかる
汚れっちまった悲しみに
今日も風さえ吹きすぎる

汚れっちまった悲しみは
たとえば狐の革裘(かわごろも)
汚れっちまった悲しみは
小雪のかかってちぢこまる

汚れっちまった悲しみは
なにのぞむなくねがうなく
汚れっちまった悲しみは
倦怠(けだい)のうちに死を夢(ゆめ)む

汚れっちまった悲しみに
いたいたしくも怖気(おじけ)づき
汚れっちまった悲しみに
なすところもなく日は暮れる……

(「新編中原中也全集」第1巻・詩Ⅰより。「新かな」に変え、一部「ルビ」を加えました。編者。)

「汚れっちまった悲しみ」は
「汚れた悲しみ」ではなく
「汚れてしまった悲しみ」なのです。

「汚れた悲しみ」である上に
「汚れてしまった悲しみ」です。

ここにも意味は重層し複層します。

そして「汚れっちまった悲しみは
たとえば狐の革裘なのです。

ほかの例は出てきません。

ほかの例では
「汚れた悲しみ」にならないほどに
厳密なのでしょう。

でも謎です。
勝手に想像するしかありません。
考えるしかありませんが
それが「面白い」のです。

誰もがこの「面白さ」を
ひそやかに楽しんでいるはずです。

狐裘(こきゅう)は
キツネのわきの下の白毛皮で作った皮衣。
(Kotobankより)
中国でも日本でも古来珍重されました。

ほんのわずかに黄身がかった白でしょうか。
小雪をチタニウム・ホワイトとするなら
アイボリー・ホワイトといえばおおざっぱですか。

あったかい白なのかもしれません。

詩は「たとえば」といいますが
悲しみのメタファーというより
シンボルといったほうが厳密なほどのことです

この「汚れ」は
「きたない」というのとは異なります。

もっとバイタルなもの。
詩人が自らの悲しみに冠した。

小雪が女性で。

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