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スケープゴート/「いのちの声」その14

「少年時」も
「修羅街輓歌」も
「空の歌」も
……

どこかスケール感がないな。
限定的だな。

詩人はそう感じたのでしょう。

「山羊の歌」というタイトルがひらめいたのは
「羊の歌」を作って以後のことか。

「羊の歌」を書き
「羊の歌」の章を設けることを決めたときか。

「羊の歌」と離れては
着想されなかったに違いありません。

そこへ「サチール」が現われました。
「これだ!」と思えた瞬間が詩人をきっと襲ったことでしょう。

「サチール」の仲間には「フォーヌ」もいます。
「ランボオ詩集」の冒頭近くに
「フォーヌの顔」はありますし。

中也が第2次ペリション版「ランボー著作集」を
正岡忠三郎から譲り受けたのは
大正15年(1926年)1月のことでした。

以来長い間に
「贖罪(しょくざい)の山羊」や「生け贄(いえにえ)の羊」の話を
詩人が耳にしたことも間違いないことでしょう。

中也はキリスト教に親密な家族の中で育ちましたし
自身早い時期に「神曲」(ダンテ)に親しみましたし
……。

「山羊の歌」編集時期の蔵書中に
「引照旧新約全書」があったこともわかっています。

「いのちの声」タイトルに添えられたエピグラフに
もろもろの業、太陽のもとにては蒼ざめたるかな。
                            ――ソロモン
――とあるのは
「旧約聖書」の「伝道之書」からの引用であることが推定されています。
(「新全集」第1巻・解題篇。)

「贖罪の山羊」や「スケープ・ゴート」などが
「山羊の歌」のネーミングを促したことも
容易に想像できることです。

未年(ひつじどし)の生まれである
自身の小さな顎と山羊・羊への親近感
フランス象徴詩人・マラルメへの親近感
幼少時に実家で飼っていた山羊の思い出

ドーデーの「スガンさんのやぎ」の本性・本能(従順と反抗と)
ランボー詩に現われる「サチルス」が悲劇の生成に果たした役割=song of goat(山羊の歌)

肉感の山羊、実生活の山羊、身近な山羊。
象徴や喩(メタファー)の山羊。
形而上学、神学、宗教に現われる山羊。
……

「山羊の歌」命名の背景には
さまざまなイメージが飛び交った跡(あと)があります。

「山羊の歌」は
それ自体が多義的です。

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