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中原中也の草々花々(くさぐさはなばな)6「ノート小年時」ほか

中原中也の未発表詩篇に現われる「花や草」(植物)を
ピックアップしていきます。
 
「草稿詩篇(1925年―1928年)」には20篇
「ノート小年時(1928年―1930年)」には16篇の詩があります。
 
 
<草稿詩篇81925年―1928年>
 
「或る心の一季節」 
最早(もはや)、あらゆるものが目を覚ました、黎明(れいめい)は来た。私の心の中に住む幾多の
フェアリー達は、朝露の傍(そば)では草の葉っぱのすがすがしい線を描いた
 
「秋の愁嘆」
野辺を 野辺を 畑を 町を
人達を蹂躪(じゅうりん)に秋がおじゃった。
 
笑えば籾殻(もみがら)かしゃかしゃと、
へちまのようにかすかすの
悪魔の伯父(おじ)さん、おじゃったおじゃった。
※富永太郎の影響がある作品です。「笑えば籾殻(もみがら)かしゃかしゃと 」が、どのような象徴化手法かをとらえることあたりがこの詩の「肝」になります。
 
「夜寒の都会」
私は沈黙から紫がかった、
数箇の苺(いちご)を受けとった。
 
「無 題」
その小児は色白く、水草の青みに揺れた、
 
私は木の葉にとまった一匹の昆虫‥‥‥
 
「夏の夜」
私の心は腐った薔薇(ばら)のようで、
夏の夜の靄(もや)では淋しがって啜(すすりな)く、
 
蔦蔓(つたかづら)が黝々(くろぐろ)と匐(は)いのぼっている、
埃(ほこ)りがうっすり掛かっている。
 
「聖浄白眼」
曇った寒い日の葉繁みでございます。
眼瞼(まぶた)に蜘蛛がいとを張ります。
 
「冬の日」
ほのかな下萠(したもえ)の色をした、
風も少しは吹いているのだった、
 
「幼なかりし日」
春の日は、苜蓿(うまごやし)踏み
青空を、追いてゆきしにあらざるか?
 
「間奏曲」
百合(ゆり)の少女の眼瞼(まぶた)の縁(ふち)に、
 
「秋の夜」
夜霧(よぎり)が深く
冬が来るとみえる。
森が黒く
空を恨(うら)む。
 
外燈の下(もと)に来かかれば
なにか生活めいた思いをさせられ、
暗闇にさしかかれば、
死んだ娘達の歌声を聞く。
 
夜霧が深く
冬が来るとみえる。
森が黒く
空を恨む。
 
深い草叢(くさむら)に虫が鳴いて、
深い草叢を霧が包む。
近くの原が疲れて眠り、
遠くの竝木(なみき)が疑深い。
※全文を掲載しました。森、草叢、原、竝木――と、植物が主役級の風景です。
 
<ノート小年時(1928年―1930年)>
 
「幼年囚の歌」
果物にもパンにももう飽かしめられたこの男を。
 
「冷酷の歌」
伸びたいだけ伸(の)んで、拡がりたいだけ拡がって、
恰度紫の朝顔の花かなんぞのように、
 
薔薇(ばら)と金毛とは、もはや煙のように空にゆきました。
 
萎(しお)れた葱(ねぎ)か韮(にら)のように、ああ神様、
 
「雪が降っている……」
  それから、
お寺の森にも、
 
「倦 怠」
人はただ絶えず慄(ふる)える、木の葉のように、
 
「夏は青い空に……」
空のもと林の中に、たゆけくも
 仰(あお)ざまに眼(まなこ)をつむり、
 
「木 蔭」
神社の鳥居が光をうけて
楡(にれ)の葉が小さく揺すれる。
夏の昼の青々した木陰(こかげ)は
私の後悔を宥(なだ)めてくれる。
 
「頌 歌」
出で発(た)たん!夏の夜は
霧(きり)と野と星とに向って。
 
「夏」
今日の日も畑に陽は照り、麦に陽は照り
 
空は燃え、畑はつづき
 
 
「草稿詩篇(1925年―1928年)」20篇のうち10篇。
「ノート小年時(1928年―1930年)」16篇のうち9篇。
いづれも「花・草」の出現率は5割以上の高率です。
 
そのことが何を意味するか。
「傾向分析」にしかなりませんが
それだけの意味はあるに違いありません。
 
詩篇一つひとつを味わう中で
そのことの意味は探られてもいいでしょう。
 
 
 
 

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