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鳥が飛ぶ虫が鳴く・中原中也の詩5「ノート1924」ほか

中原中也の未発表詩篇に現われる鳥獣虫魚(動物)を見ていきましょう。
 
中原中也の詩で生前、没後を問わず発表された詩篇は「生前発表詩篇」。
それ以外は「未発表詩篇」としてまとめられています。
 
角川版全集は現在の第3次全集を「新編中原中也全集」としていますが
創元社版全集を含めると
戦後に4次の全集が発行されました。
 
「新編中原中也全集」を新全集と呼ぶ慣わしですが
この新全集の編集方針によって
それまで「未刊詩篇」として時系列に整理されていたものが
作品の残存形態(原稿用紙の種類など形)ごとに分類され
分類後にその中で制作順(時系列)に配列されて
「未発表詩篇」として再構築されました。
 
たとえば「早大ノート」には
1930年から1937年に制作された詩篇が記されてあります。
たとえば「草稿詩篇(1933年―1936年)」には
1933年から1936年に制作された詩篇がまとめられています。
この両者を分解して時系列で詩篇を配列した「未刊詩篇」(旧全集)の考え方を修正したのです。
 
 
未発表詩篇の制作は
中原中也の詩人活動の全年代にわたって残されてあります。
 
中には
なぜこの作品が発表されなかったのかと思える
名作が犇(ひしめ)いていますから
「山羊の歌」の詩人、「在りし日の歌」の詩人というイメージではとらえきれない
別の詩人の相貌(かお)を見ることができます。
 
 
「未発表詩篇」は
京都時代のダダイズム詩からはじまります。
 
<ダダ手帖(1923年―1924年)>
 
「ダダ音楽の歌詞」
ウワキはハミガキ
ウワバミはウロコ
 
オハグロは妖怪
下痢はトブクロ
 
<ノート1924(1924年―1928年)>
 
「想像力の悲歌」
その日蝶々の落ちるのを
夕の風がみていました
 
「春の夕暮」
ああ、案山子はなきか――あるまい
馬嘶(いなな)くか――嘶きもしまい
 
(題を附けるのが無理です)
寺院の壁にトンボがとまった
 
(テンピにかけて)
テンピにかけて
焼いたろか
あんなヘナチョコ詩人の詩
百科辞典を引き廻し
鳥の名や花の名や
みたこともないそれなんか
ひっぱり出して書いたって
――だがそれ程想像力があればね――
やい!
いったい何が表現出来ました?
自棄(やけ)のない詩は
神の詩か
凡人の詩か
そのどっちかと僕が決めたげます
 
(酒)
蜘蛛は五月雨(さみだれ)に逃げ場を失いました
 
犬が骨を……
 
(古る摺れた)
ガラスを舐(な)めて
蠅を気にかけぬ
 
(ツッケンドンに)
鳥の羽(はね)斜(はす)に空へ!……
 
雀の声は何という生唾液(ナマツバキ)だ!
 
(成 程)
蛙が鳴いて
一切がオーダンの悲哀だ
 
「真夏昼思索」
畳をポントケサンでたたいたら蝿が逃げて
声楽家が現れた 
 
「冬と孤独と」
私が路次(ろじ)の角に立った時小犬が走った
 
 
ここまでが「ノート1924」の中の京都時代の作品です。
 
 
「ダダ音楽の歌詞」の「ウワバミ」は蛇のこと。
飲兵衛(のんべえ=酒好き)の夫婦のことを「うわばみ夫婦」などと言うことがあります。
 
 
(テンピにかけて)は全行を引きました。
「へなちょこ詩人」を
ろくすっぽ知らないのに鳥や花の名前を辞書から引っぱるやからと批判した詩です。
花鳥風月へのダダイストのスタンスが述べられていて面白いので。
 
 
前後の詩句を排除すると
 
ウワバミ
妖怪
蝶々
トンボ
蜘蛛
小犬
――というような動物が現われたことになります。
 
 

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