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中原中也の詩に出てくる「人名・地名」23(まとめ)

【青木三造】は、安原喜弘(1908年5月19日~1992年11月4日)をモデルにした詩のタイトルです。第1詩集「山羊の歌」の出版を大きな力でサポートした親友として知られる安原も、「白痴群」の同人であり、「成城ボーイ」です。昭和15年に「文学草紙」という同人誌に中原中也の手紙を連載で紹介しましたが、太平洋戦争で中断、戦後の昭和25年にユリイカ社から「中原中也の手紙」として単刊発行しました。小林秀雄による中也の没後評価に続く、もっとも早い時期の中原中也評価の一つです。
 
中也が書いた手紙は、中原中也全集に収録されるなど、第一級資料としての価値をいよいよ高めていますが、安原は昭和54年に再編集して同名タイトルで玉川大学出版部から再刊します。安原亡き2010年には、講談社文芸文庫に入りました。同文庫の案内に、「中原中也を取り巻く青春群像の中で例外的に安定した温かい交友を持続させた安原喜弘。その手元に遺った一〇〇通は、現存する最多の中也書簡である。同人誌を共に立ち上げ、詩集『山羊の歌』出版のために献身、小林秀雄、大岡昇平、富永太郎等すべての仲間が中也と諍い去って行った後も、傍らに寄り添い、傷ましい魂の遍歴を見守りつづけた。中也の書簡と自身の回想で織りなす稀有なる友情の証。」とありますが、このあたりには、大岡昇平の畢生(ひっせい)の伝記大作「中原中也」に欠けていたアングルを差し出して、いまや入門の書であり必読の書となった背景が案内されています。
 
玉川大学出版版「中原中也の手紙」には、「中原中也のこと」「詩人との出会い――中原中也のこと」という小論を寄せています。「詩人との出会い――中原中也のこと」の一部を読んでおきましょう。
 
 
(略)
こうしてこのあと昭和9年の12月に文圃堂書店から出版のはこびとなるまで、丸2年ちょっと、「山羊の歌」の本文はその紙型とともに私の家の納戸にねむることとなった。
 
本文印刷中の9月ころから、彼の魂の平衡はみだれ、いわゆる神経衰弱的徴候をみせはじめていたことは前にふれたが、その年の12月ごろ、それは頂点に達した。後に彼は、昭和11年末から翌12年の春にかけて、長男文也の死に対する悲愁から激しい神経衰弱症状を起こしたが(これを私は「第2の動乱」と自分なりに呼んでいるのだが)、昭和7年のそれは、遙かに激しいものであった。幻想と被害妄想と強迫観念と、昼夜をわかたず詩人の心をさいなんだ。酔うと荒れ、誰かれとなく激しく衝突した。凄まじいばかりであった。
 
(略)
 
この動乱の期間中、むしろ詩人の心には詩集はなかったとさえいえるだろう。この時期、彼の心の中には、もっとほかの何かが、根強く渦まいていた。この時、彼の親しい友人たちも多くは彼を避け、あるいは不仲となり、詩集の話はほとんど彼の口からは出ていない。私の記憶するかぎり、印刷ができあがってからは、詩集の話はほとんど彼の口からは出ていない。彼の口にするのは、離反した友人たちの名であった。
 
 
詩人の内部に積もる鬱積(うっせき)を吐き出すために、
二人は、よく酒を飲みました。
「青木三造」の後半部は、その様子を歌っています。
前半部は、安原の人となりを文語調の中に歌います。
 
 
青木三造
 
   序歌の一
 
こころまこともあらざりき
不実というにもあらざりき
ゆらりゆらりとゆらゆれる
海のふかみの海草(うみくさ)の
おぼれおぼれて、溺れたる
ことをもしらでゆらゆれて
 
ゆうべとなれば夕凪(ゆうなぎ)の
かすかに青き空慕(した)い
ゆらりゆらりとゆれてある
海の真底の小暗きに
しおざいあわくとおにきき
おぼれおぼれてありといえ
 
前後もあらぬたゆたいは
それや哀しいうみ草の
なさけのなきにつゆあらじ
やさしさあふれゆらゆれて
あおにみどりに変化(へんげ)すは
海の真底の人知らぬ
涙をのみてあるとしれ
 
   その二
 
  冷たいコップを燃ゆる手に持ち
  夏のゆうべはビールを飲もう
  どうせ浮世はサイオウが馬
   チャッチャつぎませコップにビール
 
  明けても暮れても酒のことばかり
  これじゃどうにもならねようなもんだが
  すまねとおもう人様もあるが
   チャッチャつぎませコップにビール
 
  飲んだ、飲んだ飲んだ、とことんまで飲んだ
  飲んで泡吹きゃ夜空も白い
  白い夜空とは、またなんと愉快じゃないか
   チャッチャつぎませコップにビール。

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