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夜更の雨/ベルレーヌへの途上で<2>鈴木信太郎の「都に雨のふるごとく」

ポール・ベルレーヌの詩
「言葉なき恋歌」を鈴木信太郎は
どう訳しているかみてみます。
 
岩波文庫の「ヴェルレエヌ詩集」は
1952年1月が第1刷で
いま手元にあるのは1987年2月の第31刷で
「言葉なき戀歌」の部には
「都に雨の降るごとく」を含めて
8篇の詩が収められています。
 
「戀歌」は旧漢字で表記、
「巷」を「都」と訳す違いが
まず目に飛び込んできますが、
文語体の中に
現代表記と歴史的表記が混合して
独特の味が出ているのが分かります。
 
 
  ◇
 
都に雨の降るごとく
 
            都には粛(しめ)やかに雨が降る。
                (アルチュウル ランボオ)
 
都(みやこ)に雨の降るごとく
わが心にも涙ふる。
心の底ににじみいる
この侘(わび)しさは何ならむ。
 
大地(たいち)に屋根に降りしきる
雨のひびきのしめやかさ。
うらさびわたる心には
おお 雨の音 雨の歌。
 
かなしみうれふるこの心
いはれもなくて涙ふる。
うらみの思(おもひ)あらばこそ。
ゆゑだもあらぬこのなげき。
 
戀も憎(にく)みもあらずして
いかなるゆゑにわが心
かくも悩むか知らぬこそ
悩みのうちのなやみなれ。
 
(一部、新漢字を使用しました。編者)

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