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中原中也のオノマトペ4「生前発表詩篇」から

「さめざめ」とか「しみじみ」とかはオノマトペか
「青々と」「白々と」「赤々と」「黒々と」はなぜオノマトペではないか
「ときどき」「しばしば」は? 
「寒々と」「ほのぼの」「ほそぼそ」「ながなが」は?
「おずおず」「なかなか」は?
――などと基本的な疑問をクリアしながら
ときには判断停止し留保しながらも先に進みます。

「ぱみゅぱみゅ」みたいな独創(造語)が
イキイキするところがオノマトペの自在な領域ですから
「ゆあーん」とか「ギロギロ」を現代詩の中に持ち込んだ詩人が
先進的だったことは確かなことで
だからといって無闇(むやみ)にこれを使う危険についても自覚していたようです。

オノマトペがピタリと決まれば
その詩を食ってしまうほどの威力があるので
食われてしまっては困る場合があるからです。
しっかり手綱(たづな)を握っていなければなりません。

この点は
「はたはた」(曇天)
「さらさら」(一つのメルヘン)
「ぞろぞろ」(正午)
――のようなありきたりのオノマトペを取り出して
生命(いのち)を吹き込んだ「技」に表れています。
これらの詩がオノマトペそのものの威力に負っているものではないことが
それを証明しています。

「一つのメルヘン」のオノマトペは
奇跡とさえいえるものです。

「生前発表詩篇」に出てくるオノマトペを見ていきます。

「嘘つきに」
そのくせビクビクしながら、面白半分(おもしろはんぶん)ばかりして、
それにまことしやかな理窟(りくつ)をつける。

「ピチベの哲学」
イライラしている時にはイライラ、
のんびりしている時にはのんびり、

「倦 怠」 
へとへとの、わたしの肉体(からだ)よ、
まだ、それでも希望があるというのか?

「秋を呼ぶ雨」
僕はもうへとへとなって、何一つしようともしませんでした。

トタンは雨に洗われて、裏店の逞(たくま)しいおかみを想(おも)わせたりしました。
それは酸っぱく、つるつるとして、尤(もっと)も、意地悪でだけはないのでした。
雨はそのおかみのうちの、箒(ほうき)のように、だらだらと降続(ふりつづ)きました。
雨はだらだらと、だらだらと、だらだらと降続きました。

だらだらとだらだらと、降続くこの不幸は、
もうやむものとも思えない、秋告げるこの朝の雨のように降るのでした。

「漂々と口笛吹いて」
漂々(ひょうひょう)と 口笛吹いて 地平の辺(べ)
  歩き廻(まわ)るは……
一枝(ひとえ)の ポプラを肩に ゆさゆさと
葉を翻(ひるが)えし 歩き廻るは
褐色(かちいろ)の 海賊帽子(かいぞくぼうし) ひょろひょろの
ズボンを穿(は)いて 地平の辺
  森のこちらを すれすれに
目立たぬように 歩いているのは

「現代と詩人」
さて希望を失った人間の考えが、どんなものだか君は知ってるか?
それははや考えとさえ謂(い)えない、ただゴミゴミとしたものなんだ。

さんさんと降りそそぐ陽光の中で、戸口に近く据(す)えられた食卓のことをかんがえる。

「郵便局」
私は今日郵便局のような、ガランとした所で遊んで来たい。

局員がクスリと笑いながら、でも忙しそうに、言葉をかけた私の方を見向きもしないで事務を取り
つづけていたら、

ストーブの煙突孔(えんとつこう)でも眺めながら、椅子の背にどっかと背中を押し付けて、

すっかり好(い)い気持になってる中に、日暮(ひぐれ)は近づくだろうし、

帰ってから今日の日の疲れを、ジックリと覚えなければならない私は、

「幻 想」
すっかり夜が更けると、大地は、此の瓢亭(ひょうてい)が載っかっている地所だけを残して、すっ
かり陥没(かんぼつ)してしまっていた。

空は晴れ、大地はすっかり旧に復し、野はレモンの色に明(あか)っていた。

「かなしみ」
悲しみばかり藍(あい)の色、ほそぼそとながながと朝の野辺空(のべそら)の涯(はて)まで、うち
つづくこの悲しみの、

「北沢風景」
車を挽(ひ)いて百姓(ひゃくしょう)はさもジックリと通るのだし、

「聞こえぬ悲鳴」
噛(か)んでも 噛んでも 歯跡もつかぬ
それで いつまで 噛んではいたら
しらじらじらと 夜は明けた

「道修山夜曲」
松には今夜風もなく
土はジットリ湿ってる。

「渓 流」
ビショビショに濡(ぬ)れて、とれそうになっているレッテルも、
青春のように悲しかった。

「道化の臨終(Etude Dadaistique)」
小児は池に仰向(あおむ)けに、
池の縁(ふち)をば 枕にて、
あわあわあわと 吃驚(びっくり)し、
空もみないで 泣きだした。

風に揺られる 雑草を、
ジッと瞶(みつ)めて おりました。

「夏」
戸外(そと)では蝉がミンミン鳴いた。

「生前発表詩篇」のオノマトペに
これといった特徴(傾向)があるとは思えません。

普通一般に使われるオノマトペが
詩の中でも普通に使われていることくらいは見えました。

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