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きらきら「初期詩篇」の世界/9「夏の日の歌」

その1

詩人が拠(よ)って立つところ。
帰る場所。
それは詩の在処(ありか)でもありました。

「秋の一日」に「布切屑(きれくず)」と明示され
「黄昏」では「一歩二歩」の行く先に
「帰郷」では「おまえはなにをして来たのだ」と歌う、
その「なに」にそれはあります。

「凄まじき黄昏」
「逝く夏の歌」
「悲しき朝」
――と配置された詩の一つ一つにも
それを読み取ることができることでしょう。

「夏の日の歌」にも
それはあります。

夏の日の歌
 
青い空は動かない、
雲片(ぎれ)一つあるでない。
  夏の真昼の静かには
  タールの光も清くなる。

夏の空には何かがある、
いじらしく思わせる何かがある、
  焦(こ)げて図太い向日葵(ひまわり)が
  田舎(いなか)の駅には咲いている。

上手に子供を育てゆく、
母親に似て汽車の汽笛は鳴る。
  山の近くを走る時。

山の近くを走りながら、
母親に似て汽車の汽笛は鳴る。
  夏の真昼の暑い時。

(「新編中原中也全集」第1巻・詩Ⅰより。「新かな」に変え、一部「ルビ」を加えました。編者。)

第1連の全行や
第2連、
夏の空にはなにかがある
――に明らかですが
いじらしく思わせる何かがある、
――と続けられて
この詩はやや「限定」された方向に向かうかのようです。

「山羊の歌」の「初期詩篇」の中に
昭和8年10月1日発行の「紀元」に発表された詩が配置されました。
それが「夏の日の歌」です。

「山羊の歌」は
昭和7年6月には編集が終わっているのですから
それよりも後に発表された詩が収録されたことになります。

これは「山羊の歌」が長い難産の末に
昭和9年11月に発行されたことに起因しています。

「夏の日の歌」の初稿は
「山羊の歌」編集の最終段階である昭和7年6月頃に制作され
「初期詩篇」に配置されたのですが
「山羊の歌」の発行が遅れている間に
「紀元」創刊号に発表したということです。

「初期詩篇」の中では
最も新しい作品ということになります。

「白痴群」でもなく
「生活者」でもなく
「スルヤ」でもなく
「紀元」からの採用というマイナーケースは
ほかに「春の日の夕暮」が「半仙戯」発表の後の配置があるだけです。

「凄じき黄昏」から二つおいて
「夏の日の歌」が置かれました。

この対照的な詩の存在によって
「山羊の歌」の「初期詩篇」は
きらきらときらきらと輝く詩世界を作り出しました。

その一つの要因となりました。

その2

詩人が拠(よ)って立つところ。
帰る場所。
それは詩の在処(ありか)でもありました。

「秋の一日」に「布切屑(きれくず)」と明示され
「黄昏」では「一歩二歩」の行く先に
「帰郷」では「おまえはなにをして来たのだ」と歌う、
その「なに」にそれはあります。

「凄まじき黄昏」
「逝く夏の歌」
「悲しき朝」
――と配置された詩の一つ一つにも
それを読み取ることができることでしょう。

「夏の日の歌」にも
それはあります。

夏の日の歌
 
青い空は動かない、
雲片(ぎれ)一つあるでない。
  夏の真昼の静かには
  タールの光も清くなる。

夏の空には何かがある、
いじらしく思わせる何かがある、
  焦(こ)げて図太い向日葵(ひまわり)が
  田舎(いなか)の駅には咲いている。

上手に子供を育てゆく、
母親に似て汽車の汽笛は鳴る。
  山の近くを走る時。

山の近くを走りながら、
母親に似て汽車の汽笛は鳴る。
  夏の真昼の暑い時。

(「新編中原中也全集」第1巻・詩Ⅰより。「新かな」に変え、一部「ルビ」を加えました。編者。)

第1連の全行や
第2連、
夏の空にはなにかがある
――に明らかですが
いじらしく思わせる何かがある、
――と続けられて
この詩はやや「限定」された方向に向かうかのようです。

「山羊の歌」の「初期詩篇」の中に
昭和8年10月1日発行の「紀元」に発表された詩が配置されました。
それが「夏の日の歌」です。

「山羊の歌」は
昭和7年6月には編集が終わっているのですから
それよりも後に発表された詩が収録されたことになります。

これは「山羊の歌」が長い難産の末に
昭和9年11月に発行されたことに起因しています。

「夏の日の歌」の初稿は
「山羊の歌」編集の最終段階である昭和7年6月頃に制作され
「初期詩篇」に配置されたのですが
「山羊の歌」の発行が遅れている間に
「紀元」創刊号に発表したということです。

「初期詩篇」の中では
最も新しい作品ということになります。

「白痴群」でもなく
「生活者」でもなく
「スルヤ」でもなく
「紀元」からの採用というマイナーケースは
ほかに「春の日の夕暮」が「半仙戯」発表の後の配置があるだけです。

「凄じき黄昏」から二つおいて
「夏の日の歌」が置かれました。

この対照的な詩の存在によって
「山羊の歌」の「初期詩篇」は
きらきらときらきらと輝く詩世界を作り出しました。

その一つの要因となりました。

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