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中原中也の詩に現われる色の色々3

その1

中原中也は生涯に
およそ370篇の詩(短歌を除く)を残しています。
「山羊の歌」44篇に現われた「色の色々」を眺めてみただけですから
まだ1割余りしか見ていないことになります。

これは「研究の成果」ではなくぶっつけ本番
いきあたりばったりの即興に近い
素人の「傾向分析」ですから
気楽に読んでください。

今、手にしているのは
角川ソフィア文庫の「中原中也全詩集」です。
中原中也の詩をすべて収録した文庫詩集は
この角川ソフィア文庫と
講談社文芸文庫の「中原中也全詩歌集」(上下)がありますが
一冊本のソフィア文庫版が持ち歩きには便利なので
これを使用する機会が多く
表紙は擦り切れ、カバーはなくなってしまっています。

全集に手の届かない人は
このどちらかを持っていると
未発表詩篇を含めた中原中也の全詩を読めますから
ぜひ手に入れてください!   

それでは「在りし日の歌」の「色」を見ていきます。
現代かな遣いで表記します。

「含羞(はじらい)」
秋 風白き日の山かげなりき

姉らしき色 きみはありにし

「むなしさ」
白薔薇の造花の花弁

「早春の風」
きょう一日また金の風
大きい風には銀の鈴

鳶色の土かおるれば

青き女(おみな)の顎か(あぎと)と

「月」
姉妹は眠った、母親は紅殻(べんがら)色の格子を締めた!

「青い瞳」
青い瞳は動かなかった、

私はいま此処にいる、黄色い灯影に。

碧い、噴き出す蒸気のように。

「三歳の記憶」
樹脂(きやに)が五彩に眠る時、

土は枇杷いろ 蝿が唸く。

「六月の雨」
菖蒲のいろの みどりいろ

「雨の日」
鳶色の古刀の鞘よ、

煉瓦の色の憔心の

賢しい少女(おとめ)の黒髪と、

「春」
厳めしい紺青(こあお)となって空から私に降りかかる。

「春の日の歌」
黄色い 納屋や、白の倉、

「夏の夜」
桜色の 女が通る

霧の夜空は 高くて黒い。

「幼獣の歌」
黒い夜草深い野にあって、

「この小児」
野に
蒼白の
この小児。

黒雲空にすじ引けば、
この小児
搾る涙は
銀の液……

青空をばかり――

ピックアップするだけで
けっこう手間がかかりますが
見えてくるものも少なくありません。

少しづつやっていけば
いつかは終わり(ゴール)が見えます。

「この小児」は
妖精コボルトが遊んでいる空に
子どもが銀の涙を湛えて現われる
一風変わった詩ですが
4連の各連に「空」があり
その空に色々な「色」が配されて目を引きます。

空と色が絡みあっています。

その2

「在りし日の歌」に現われる
「色」のピックアップを進めましょう。

姉らしき色
金の風、銀の鈴
青き女(おみな)
厳めしい紺青(こあお)
桜色の 女が通る
……などにコメントしたくなりますが
先に進めましょう。

「白血球」は色か? などと
ささいな疑問にひっかかり
これを色に分類しないのは
「青空」は色とし「赤ん坊」は色としないことにするのと同じです。

2013年の今日(1月18日)
関東地方南部は「厳めしい紺青(こあお)」の空が広がり
遅い目覚めの床を襲いました。

大寒(1月20日)の前というのに
春の陽射しです。

「冬の日の記憶」
北風は往還を白くしていた。

「冷たい夜」
心は錆びて、紫色している。

「冬の明け方」
やがて薄日が射し
青空が開(あ)く。

「秋の消息」
けざやけき顥気の底に青空は

「骨」
しらじらと雨に洗われ

ただいたずらにしらじらと

骨はしらじらととんがっている。

「秋日狂乱」
空の青も涙にうるんでいる

「朝鮮女」
肌赤銅の乾物(ひもの)にて

「夏の夜に覚めてみた夢」
ユニホームばかりほのかに白く――

蒼々として葉をひるがえし

「春と赤ン坊」
薄桃色の、風を切って……
走ってゆくのは菜の花畑や空の白雲(しろくも)

「雲雀」
碧(あーお)い 碧(あーお)い空の中

あーおい あーおい空の中

「初夏の夜」
大河(おおかわ)の、その鉄橋の上方に、空はぼんやりと石盤色であるのです。

「閑寂」
土は薔薇色、空には雲雀

「思い出」
お天気の日の、海の沖は
まるで、金や、銀ではないか

煉瓦干されて赫々していた

「残暑」
畳ももはや 黄色くなったと

「曇天」
黒い 旗が はためくを 見た。

いまも 渝(かわ)らぬ かの 黒旗よ。

「蜻蛉に寄す」
赤い蜻蛉が 飛んでいる

「ゆきてかえらぬ」
ポストは終日赫々(あかあか)と、

風信機(かざみ)の上の空の色、時々見るのが仕事であった。

さてその空には銀色に、蜘蛛(くも)の巣が光り輝いていた。

「言葉なき歌」
とおくとおく いつまでも茜の空にたなびいていた

「月の光 その二」
とても黒々しています

「村の時計」
おとなしい色をしていた

「或る男の肖像」
齢(とし)をとっても髪に緑の油をつけてた。

――幻滅は鋼(はがね)のいろ。

髪毛の艶(つや)と、ランプの金との夕まぐれ

「正午」
大きなビルの真ッ黒い、小ッちゃな小ッちゃな出入口

「光」の表現と「色」が
微妙に絡(から)まっていて
分別するのが難しいのですが
文字・言葉として形にされたかどうかで一線を引きました。

線を引けない表現もあります。

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