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中原中也のオノマトペ2「山羊の歌」後半部から

「山羊の歌」に出てくるオノマトペを
後半部「少年時」「みちこ」「秋」「羊の歌」と章順に見ていきます。

「少年時」
私は希望を唇に噛みつぶして
私はギロギロする目で諦(あきら)めていた……
噫(ああ)、生きていた、私は生きていた!

「盲目の秋」
それはしずかで、きらびやかで、なみなみと湛(たた)え、
  去りゆく女が最後にくれる笑(えま)いのように、

いきなり私の上にうつ俯(ぶ)して、
それで私を殺してしまってもいい。
すれば私は心地よく、うねうねの暝土(よみじ)の径(みち)を昇りゆく。

「わが喫煙」
おまえのその、白い二本の脛(すね)が、
  夕暮(ゆうぐれ)、港の町の寒い夕暮、
にょきにょきと、ペエヴの上を歩むのだ。

わんわんいう喧騒(どよもし)、むっとするスチーム、
  さても此処(ここ)は別世界。

「雪の宵」
ふかふか煙突(えんとつ)煙吐(けむは)いて、
赤い火の粉(こ)も刎(は)ね上る。

「憔 悴」
そして理窟(りくつ)はいつでもはっきりしているのに
気持の底ではゴミゴミゴミゴミ懐疑(かいぎ)の小屑(おくず)が一杯です。

ギロギロする目
――が飛び抜けて強いインパクトを放っています。

うねうねの暝土(よみじ)の径(みち)
わんわんいう喧騒(どよもし)
ゴミゴミゴミゴミ懐疑(かいぎ)の小屑(おくず)
――も味わいがありますね。

にょきにょきと、
――が、恋人・泰子の足の形容に使われているのも面白い。

使う数はそれほど多くはないことが確認できました。

 

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