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中原中也の詩に出てくる「人名・地名」20(まとめ)

中原中也の詩に現われる「人名」のうちの日本人を見ていますが
残るのは、面識があった人物だけとなりました。
 
【河上徹太郎】
【内海誓一郎】
【阿部六郎】
【関口隆克】
【泰子】
【安原喜弘】
【諸井三郎】
【小林秀雄】
【青山二郎】
【青木三造】
【高橋新吉】
【昇平】
【秋岸清凉居士】
――ですが、このうち【秋岸清凉居士】は弟恰三の戒名ということで別格とすれば、
ほかは極めて近くに存在した「当事者」みたいな人ばかりです。
 
【青木三造】は、中也からの手紙・葉書を合計101件を保存していた親友安原喜弘をモデルにした小説や詩の主人公名ですし、【泰子】【小林秀雄】【昇平】は中也を巡る実人生のドラマのコア(核)になるキャラクター(登場人物)ですし、【河上徹太郎】【内海誓一郎】【阿部六郎】【関口隆克】【諸井三郎】【青山二郎】も、中也の交友圏内の至近距離に存在した人々でした。
 
【高橋新吉】は、何度か面談しているダダイストで、ふだんの交流はなく、交友というよりは文学上の先輩格でした。中原中也は自ら書いた小自伝「詩的履歴書」に「大正12年春、文学に耽りて落第す。京都立命館中学に転校す。生れて始めて両親を離れ、飛び立つ思いなり、その年の暮、寒い夜に丸太町橋際の古本屋で『ダダイスト新吉の詩』を読む。中の数篇に感激。」と記しました。
 
ここで「ダダイスト新吉の詩」の中の詩を一つだけ読んでおきましょう。
 
 
(皿)
 
皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿
 倦怠
 額に蚯蚓這う情熱
白米色のエプロンで
 皿を拭くな
鼻の巣の白い女
 其処にも諧謔が燻すぶっている
  人生を水に溶かせ
 冷めたシチューの鍋に
退屈が浮く
 皿を割れ
 皿を割れば
倦怠の響が出る
 
※「新かな」表記にしてあります。編者。

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