カテゴリー

« 中原中也のオノマトペ8「早大ノート(1930年―1937年) | トップページ | 鳥が飛ぶ虫が鳴く・中原中也の詩1「山羊の歌」から »

中原中也のオノマトペ9「療養日誌・千葉寺雑記(1937年)」ほか

「未発表詩篇」の残りの約半分は
「草稿詩篇(1931年―1932年)」
「ノート翻訳詩(1933年)」
「草稿詩篇(1933年―1936年)」
「療養日誌・千葉寺雑記(1937年)」
「草稿詩篇(1937年)」で
98篇の詩(一部短歌を含む)があります。

これらに出てくるオノマトペを
一気にピックアップします。

<草稿詩篇(1931年―1932年)>

「青木三造」
ゆらりゆらり
チャッチャ
とことん

「脱毛の秋 Etudes」
むっちり

「秋になる朝」
フラフラ

(辛いこった辛いこった!)
ガラガラ

「修羅街挽歌 其の二」
ギッタギダギダ

<ノート翻訳詩(1933年)>
キラキラ
ほのぼの

(土を見るがいい)
すっぽり

「小 景」
しずしず

<「草稿詩篇(1933年―1936年)」>

(風が吹く、冷たい風は)
チョコナン

(とにもかくにも春である)
チャンポン
パッパ、ガーラガラ、ハーシルハリウーウカ、ウワバミカー
        キシャヨ、キシャヨ、アーレアノイセイ

「虫の声」
にこにこ

「蝉」
うつらうつら
チラチラ

「夏」
ギラギラ
ゴボゴボ
サラサラ

「玩具の賦」
チャンチャラ
トット

「狂気の手紙」
フーッ

「咏嘆調」
ギョッ

「秋岸清凉居士」
ほのぼの
すっかり
ヒラヒラ
ガックリ
ブラリブラリ

「月下の告白」
とんと

「悲しい歌」
わあッ
ギョッ

「星とピエロ」
ぞろぞろ
ジッ

「誘蛾燈詠歌」
ほのぼの
ゴー

(なんにも書かなかったら)
くよくよ
ジット

「坊 や」
さらさらさら

「僕が知る」
ぐっ

「僕と吹雪」
カラカラ

「十二月(しわす)の幻想」
ウー
ウウウー

「大島行葵丸にて」
ポイ
ぐるりぐるり
ゆるり

「桑名の駅」
コロコロ

(秋が来た)
サラッ
うっすら

「雲った秋」
しょんぼり
ゆったり
ポトホト
ぼんやり
どんどん
まざまざ

「雲」
まざまざ
やんわり

「砂 漠」
ゆら

「一夜分の歴史」
バリバリ
ゆっくり

「断 片」
けろけろ
ゴー
まざまざ

「暗い公園」
ハタハタ

<療養日誌・千葉寺雑記(1937年)

「道修山夜曲」
ジットリ

<草稿詩篇(1937年)>

「春と恋人」
びしょ

「少女と雨」
しとしと
ジッ

「夏と悲運」
カンカン
すっかり

(嘗てはランプを、とぼしていたものなんです)
にっこり
ガタガタガタガタ

「四行詩」
ゆっくり

オノマトペのありそうな「お会式の夜」「蛙声」にありませんでした。
はじめ不思議に思えましたが
よく考えて納得できました。
テンテンツクとかゲロゲロとかのステロタイプを排しているのですね。

「野卑時代」の「ガッカリ」はオノマトペか
迷った末、入れませんでした。
こういうのが幾つかあったかもしれません。
その逆も。

(とにもかくにも春である)の
パッパ、ガーラガラ、ハーシルハリウーウカ、ウワバミカー
        キシャヨ、キシャヨ、アーレアノイセイ
――という呪文みたいな言葉に中には
きっとオノマトペがはいっていることでしょう。

« 中原中也のオノマトペ8「早大ノート(1930年―1937年) | トップページ | 鳥が飛ぶ虫が鳴く・中原中也の詩1「山羊の歌」から »

中原中也のオノマトペ」カテゴリの記事