中原中也の月<24選>
<中原中也の詩で月が出てくるものを集めてみました>
今宵(こよい)月はいよよ愁(かな)しく、〜月
今宵(こよい)月は襄荷(みょうが)を食い過ぎている 〜月
月は空にメダルのように、街角に建物はオルガンのように、〜都会の夏の夜
自転車は月の光を浴びながら、ガタガタといって引揚げられた。〜(七銭でバットを買って)
月の光が照っていた 〜月の光 その一
月夜の晩に、ボタンが一つ 波打際に、落ちていた。〜月夜の浜辺
月の光に照らされて 庭のベンチの上にいる 〜月の光 その二
月の光に明るい墓場に エジプト遺蹟(いせき)もなんのその 〜月下の告白
――あの月の中にはな、色蒼(あお)ざめたお姫様がいて……… 〜ピチベの哲学
ただただ月の光のヌメランとするままに 〜春の日の夕暮
月光うけて失神し 庭の土面(つちも)は附黒子(つけぼくろ)〜春の夜
ナイアガラの上には、月が出て、僕は中世の恋愛を夢みていた。〜(ナイヤガラの上には、月が出て)
月はおぼろにかすむ夜に、杉は、梢を 伸べていた。〜(月はおぼろにかすむ夜に)
蛙等は月を見ない 恐らく月の存在を知らない 〜(蛙等は月を見ない)
蛙が鳴く。月のある晩もない晩も、〜蛙 声
おっとり霧も立罩(たちこ)めて その上に月が明るみます、〜更くる夜
ポッカリ月が出ましたら、舟を浮べて出掛けましょう。 〜湖 上
竦然(しょうぜん)として身をすくめ 月はその時(とき)空にいた 〜頑是ない歌
カスタニェットと月光のほか 目覚ますことなき星を抱いて、〜幼獣の歌
僕は蛙を聴き 月を見、月の前を過ぎる雲を見て、僕は立っている 〜(蛙等が、どんなに鳴こうと)
その浪(なみ)はあまりに深く その月はあまりに清く、〜失せし希望
月ははるかな空にいて 見てはいますが聞こえない 〜(月の光は音もなし)
木(こ)の下かげには幽霊がいる 〜月夜とポプラ
月の光のそのことを、盲目少女(めくらむすめ)に教えたは、〜お道化うた
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