未発表詩篇〜早大ノート(1930年〜1937年)(インデックス)
秋の日は、干物の匂いがするよ 外苑の舗道しろじろ、うちつづき、〜干 物
いちじくの、葉が夕空にくろぐろと、風に吹かれて 〜いちじくの葉
醉客の、さわがしさのなか、ギタアルのレコード鳴って、〜カフェーにて
休みなされ、台所や便所の掃除こそ大事だなぞという教訓を、〜(
私の胃袋は、金の叫びを揚げた。水筒の中にはもはや、
そのうすいくちびると、そのほそい声とは 食べるによろしい。〜(そのうすいくちびると)
孤児の肌に唾吐きかけて、あとで泣いたるわたくしは 〜(孤児の肌に唾吐きかけて)
風のたよりに、沖のこと 聞けば 今夜は、可なり漁れそう、ゆっくり今頃夕飯食べてる。〜(
私のなかで舞ってるものは、こおろぎでもない、〜Qu'est-
抑制と、突発の間をいったりきたり、
夜の空は、広大であった。その下に一軒の酒場があった。〜
アセチリンをともして、低い台の上に商品を並べていた、〜夜 店
私の心の、『過去』の画面の、右の端には、女の額の、
雨の音のはげしきことよ 風吹けば ひとしおまさり 〜雨と風
雨の音のはげしきことよ 風吹けばひとしおまさり 〜風 雨
吹く風を心の友と 口笛に心まぎらわし 〜(吹く風を心の友と)
秋の夜に、僕は僕が破裂する夢を見て目が醒めた。〜(
支那というのは、吊鐘の中に這入っている蛇のようなもの。
われ等のジェネレーションには仕事がない。
月はおぼろにかすむ夜に、杉は、梢を 伸べていた。〜(月はおぼろにかすむ夜に)
ポロリ、ポロリと死んでゆく。みんな別れてしまうのだ。〜(
疲れやつれた美しい顔よ、私はおまえを愛す。〜(
生きのこるものはずうずうしく、
その夜私は、コンテで以て自我像を画いた 風の吹いてるお会式の夜でした 〜コキューの憶い出
傍若無人な、そなたの美しい振舞いを、その手を、
なあに、小児病者の言うことですよ、そんなに美しいあなたさえ 〜マルレネ・ディートリッヒ
私の部屋の、窓越しに みえるのは、エヤ・サイン 〜秋の日曜
ナイヤガラの上には、月が出て、雲も だいぶん集っていた。〜(ナイヤガラの上には、月が出て)
汽笛が鳴ったので、僕は発車だと思った。〜(汽笛が鳴ったので)
七銭でバットを買って、一銭でマッチを買って、――ウレシイネ、
それは一時の気の迷い、あきらめなされというけれど、〜(
僕達の記臆力は鈍いから、僕達は、その人の鬚(ひげ)
南無 ダダ 足駄なく、傘なく 〜(南無 ダダ)
頭を、ボーズにしてやろう 囚人刈りにしてやろう 〜(頭を、ボーズにしてやろう)
自然というものは、つまらなくはない、
月の光は音もなし、虫の鳴いてる草の上 〜(月の光は音もなし)
他愛もない僕の歌が 何かの役には立つでしょうか? 〜(他愛もない僕の歌が)
カワイラチイネ、おまえさんの鼻は、人間の鼻の模型だよ、〜嬰 児
宵に寝て、秋の夜中に目が覚めて 汽車の汽笛の音を聞いた。〜(宵に寝て、秋の夜中に目が覚めて)
今晩ああして元気に語り合っている人々も、
今晩ああして元気に語り合っている人々も、実は、
みまかりし、吾子はもけだし、今頃は 何をか求め、歩くらん?…… 〜こぞの雪今いずこ
私のなかで舞ってるものは、こおろぎでもない、〜Qu'est-
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