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冬の日暮るる頃

 
82 玄関に夕刊投げし音のしぬ街道静かに夕せまる頃
83 吹雪する夕暮頃の路ゆけば農家の燈(あかり)見えずさびしも
84 一つ一つ軒の灯火(ともしび)ともりつつ雪ピッタリと止みにけるかも
85 一筋の路に添いたつ電柱の多くはみえず雪降れば寂し
86 ひねもすを鳴き疲かれたる鳥一羽夕の空をひたに飛びゆく
87 冬空の夕べ飛びゆく鳥の声野に立ちきけばさびしさのわく
88 湯を出でて心たらえり何もかも落ち付きはらう心なるかも
89 さびれたる冬野の中をうねりうねる畦路(あぜみち)遠く雪おける見ゆ

90 舟人の帆を捲く音の夕空にひびき消えゆき吾(われ)内に入る
 

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