(夏が来た)
夏が来た。
空を見てると、
旅情が動く。
僕はもう、都会なんぞに憧れはせぬ。
文化なんぞは知れたもの。
然(しか)し田舎も愛しはえせぬ、
僕が愛すは、漂泊だ!
「生活」か?
そんなものなぞあろうた思わぬ。
とんだ美事な美辞に過ぎまい。
どうせ理念もへちまもないのだ、
ただただ卑猥(ひわい)があるばかり
それとも気取りがあるばかり。
僕はもう、十分倦(あ)き倦きしている!
夏が来た。
空を見てると、
旅情が動く。
「生活」とやらが……聞いてあきれる。
(一九三六・六・三〇)
<スポンサーリンク>
« (鹿がいるということは) | トップページ | (よくはれたれど) »
「その他の詩篇」カテゴリの記事
- ゴムマリの歌(2013.08.10)
- 薔 薇(2013.08.08)
- 「ノート翻訳詩」について(2013.08.02)
- (冨倉の尻を小さくし)(2012.04.14)
- 戯 歌(2012.04.13)