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野卑時代

 
星は綺麗(きれい)と、誰でも云(い)うが、
それは大概、ウソでしょう
星を見る時、人はガッカリ
自分の卑少(ひしょう)を、思い出すのだ

星を見る時、愉快な人は
今時減多に、いるものでなく
星を見る時、愉快な人は
今時、孤独であるかもしれぬ

それよ、混迷、卑怯(ひきょう)に野卑(やひ)に
人々多忙のせいにてあれば
文明開化と人云うけれど
野蛮開発と僕は呼びます

勿論(もちろん)、これも一つの過程
何が出てくるかはしれないが
星を見る時、しかめつらして
僕も此の頃、生きてるのです
 
    (一九三四・一一・二九)
 

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ひとくちメモ

「野卑時代」も

(海は、お天気の日には)と

(お天気の日の海の沖では)と

同じ日に制作されましたから

東京での作品でしょうか

タイトルのついた完成作です。

モチーフは

海から星へと変りますが

海を歌って

海の美しさを賛美しただけではなかったように

星を歌って

単なる自然詠に終わらないことは

言うまでもありません。

星を見て

綺麗と言うのはウソ

星を見て

人はガッカリするのさ

なぜなら

星を見て

自分のちっぽけなことを知るばかりなのだから

星を見て

愉快になる人は

いまどき滅多にいはしない

星を見て

愉快な人は

孤独な人だろう

そうなのさ、

混迷し、卑怯に野卑になっているのは

人々が多忙のせいであり

そのことを文明開化と人は呼ぶけど

野蛮開発と僕なら呼ぼう

もちろん、これも一つの過程のことであって

なにが出てくるかは分かりはしないが

星を見て

しかめっ面して

僕だってこの頃生きているのさ

星を見て

なにやら

文明開化の風潮へ

時勢批判の一つ

言ってみたくなった詩人。

そりゃ

野蛮開発っていうもんだ

とはいうものの

星を見て

しかめっ面せざるをえなくて

元気がありません。

「野卑時代」のタイトルにしては

いまいち

奥歯にモノのはさまって

あいまいな言葉使いの詩になりました。

 

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