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末黒野

中原中也全詩集

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都会の夏の夜

 
月は空にメダルのように、
街角に建物はオルガンのように、
遊び疲れた男どち唱(うた)いながらに帰ってゆく。  
――イカムネ・カラアがまがっている――

その脣(くちびる)は胠(ひら)ききって
その心は何か悲しい。
頭が暗い土塊(つちくれ)になって、
ただもうラアラア唱ってゆくのだ。

商用のことや祖先のことや
忘れているというではないが、
都会の夏の夜の更――

死んだ火薬と深くして
眼(め)に外燈(がいとう)の滲(し)みいれば
ただもうラアラア唱ってゆくのだ。

 

▶音声ファイル(※クリックすると音が出ます)

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<ひとくちメモ>

東京のサラリーマンたちの姿が

とらえられました。

銀座か新宿か渋谷か……

相も変らぬ都会の夜の風景です。

ラアラア

ラアラア

サラリーマンたちが高唱する中身は聞きとれません。

ただラアラアとだけ聞こえます。

皆さん、糊のきいた

よそ行きの白いシャツの襟も

曲がっちゃって。

職場のお仲間の結婚式の帰りなのでしょうか。

口を大きく開ききって

心の中が丸見えのようなのがどこか悲しい

頭の中も土の塊にでもなってしまったかのように

ラアラアとだけ

がなりながら

どこかへ帰っていくのです。

ここには、しかし

非難がましさはありません

あきれているばかりではなく

サラリーマンへの哀れみのようなものさえ漂います。

いい加減に

おれも

あの隊列の中に入りたいなあ

ラアラアと

何もかも忘れて

高吟してみたいよなあ

という共鳴の響きすらあります。

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