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春の日の歌

 
流(ながれ)よ、淡(あわ)き 嬌羞(きょうしゅう)よ、
ながれて ゆくか 空の国?
心も とおく 散らかりて、
エジプト煙草(たばこ) たちまよう。

流よ、冷たき 憂(うれ)い秘(ひ)め、
ながれて ゆくか 麓(ふもと)までも?
まだみぬ 顔の 不可思議(ふかしぎ)の
咽喉(のんど)の みえる あたりまで……

午睡(ごすい)の 夢の ふくよかに、
野原の 空の 空のうえ?
うわあ うわあと 涕(な)くなるか

黄色い 納屋(なや)や、白の倉、
水車の みえる 彼方(かなた)まで、
ながれ ながれて ゆくなるか?

 

▶音声ファイル(※クリックすると音が出ます)

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ひとくちメモ

「春の日の歌」は、

昭和11年(1929)の「文学界」5月号に

発表されました。

制作は、その2か月前と推定されています。

中原中也29歳。

流れ、ながれ、とは何か

嬌羞、きょうしゅう、とは……。

心と、どう異なり、どうつながるのか。

空とは、空の国とは、

空のうえ、とは……。

中原中也ならではの語彙に満ち

思想の盛られた詩。

宗教性という人もいます。

単に自然を歌った、という

作品ではありません。

4-4-3-3のソネット

七五調。

流麗であり、

文語まじりの口語体が

荘重感を生み出します。

それを

岩野泡鳴流の

「分かち書き」にしています。

その中に、

うわあ うわあと 涕(な)くなるか

という激情。

少年時代のギロギロの眼(まなこ)に

これは、つながっていくものでしょうか。

納屋、白い倉、水車……と、

ながれは、たどりにたどり、

故郷の景色へと結んでいきます。

空には、

詩人独特の天の意味が込められ、

死の響きも少し感じられますが、

全体がなまめかしさを漂わせるのは

嬌羞の一語のせいでしょう。

 

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