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末黒野

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夕 照

 
丘々は、胸に手を当て
退(しりぞ)けり。
落陽(らくよう)は、慈愛(じあい)の色の
金のいろ。

原に草、
鄙唄(ひなうた)うたい
山に樹々(きぎ)、
老いてつましき心ばせ。

かかる折(おり)しも我(われ)ありぬ
少児(しょうに)に踏まれし
貝の肉。

かかるおりしも剛直(ごうちょく)の、
さあれゆかしきあきらめよ
腕拱(く)みながら歩み去る。

 

▶音声ファイル(※クリックすると音が出ます)

 

<ひとくちメモ>

大岡昇平は、

戦地でこの詩の一節を口ずさんで

苦しい時をやり過ごした、と言っています。

「野火」「レイテ戦記」の作家が

この詩に何を感じていたのかを思って、

この詩を読んでみる価値がありそうです。

鄙唄(ひなうた)の歌い手は

誰なのか。

丘々が向こうの方に

女性が胸に手をあてがって

祈っているかのように見えます。

金色の落陽は

慈愛に満ちて……

草原から鄙唄が聞こえ

山の木々はつましい……

ここに

母がいます。

母を思っている私は

この時

子どもが踏んづけた貝を見るのです。

「貝の肉」をどう解するか、さまざまですが、

人の世は悲しみのあふれる

いかんともしがたい不条理な世界、

それを「少児に踏まれし貝の肉」と表現しました。

こんなときであるからこそ

剛直な心を保ち

奥ゆかしくあきらめよう

じっとこらえて

腕組んで

歩いてゆくのが詩人です。

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