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未発表詩篇〜ノート1924(1924年〜1928年)

2012/04/04

無 題

 

緋(ひ)のいろに心はなごみ
蠣殻(かきがら)の疲れ休まる

金色の胸綬(コルセット)して
町を行く細き町行く

死の神の黒き涙腺(るいせん)
美しき芥(あくた)もみたり

自らを恕(ゆる)す心の
展(ひろが)りに女を据(す)えぬ

緋の色に心休まる
あきらめの閃(ひらめ)きをみる

静けさを罪と心得(こころえ)
きざむこと善(よ)しと心得

明らけき土の光に
浮揚する
   蜻蛉となりぬ

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秋の日

 
秋の日は 白き物音
むきだせる 舗石(ほせき)の上に
人の目の 落ち去りゆきし
ああ すぎし 秋の日の夢
 
空にゆき 人群(ひとむれ)に分け
いまここに たどりも着ける
老の眼の 毒ある訝(いぶか)り
黒き石 興(きょう)をおさめて
 
ああ いかに すごしゆかんかな
乾きたる 砂金は頸(くび)を
めぐりてぞ 悲しきつつましさ
 
涙腺(るいせん)をみてぞ 静かに
あきらめに しりごむきょうを
ああ天に 神はみてもある

 

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(かつては私も)

 
かつては私も
何にも後悔したことはなかった
まことにたのもしい自尊(じそん)のある時
人の生命(いのち)は無限であった

けれどもいまは何もかも失った
いと苦しい程多量であった
まことの愛が
いまは自ら疑怪(ぎかい)なくらいくるめく夢で

偶性(ぐうせい)と半端(はんぱ)と木質(もくしつ)の上に
悲しげにボヘミヤンよろしくと
ゆっくりお世辞笑いも出来る

愛するがために
悪弁(あくべん)であった昔よいまはどうなったか
忘れるつもりでお酒を飲みにゆき、帰って来てひざに手を置く。
 

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(秋の日を歩み疲れて)

 
秋の日を歩み疲れて
橋上を通りかかれば
秋の草 金にねむりて
草分ける 足音をみる

忍從(にんじゅう)の 君は默(もく)せし
われはまた 叫びもしたり
川果(かわはて)の 灰に光りて
感興(かんきょう)は 唾液(だえき)に消さる

人の呼気(こき) われもすいつつ
ひとみしり する子のまなこ
腰曲げて 走りゆきたり

台所暗き夕暮
新しき生木(なまき)の かおり
われはまた 夢のものうさ
 

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無 題

 
ああ雲はさかしらに笑い
さかしらに笑い
この農夫 愚(おろ)かなること
小石々々
エゴイストなり
この農夫 ためいきつくこと

しかすがに 結局のとこ
この空は 胸なる空は
農夫にも 遠き家にも
誠意あり
誠意あるとよ

すぎし日や胸のつかれや
びろうどの少女みずもがな
腕をあげ 握りたるもの
放すとよ 地平のうらに

心籠(こ)め このこと果(はて)し
あなたより 白き虹より
道を選び道を選びて
それからよ芥箱(ごみばこ)の蓋
 

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涙 語

 
まずいビフテキ
寒い夜
澱粉(でんぷん)過剰の胃にたいし
この明滅燈の分析的なこと!

あれあの星というものは
地球と人との様(さま)により
新古自在(しんこじざい)に見えるもの

とおい昔の星だって
いまの私になじめばよい

私の意志の尽きるまで
あれはああして待ってるつもり

私はそれをよく知ってるが
遂々のとこははむかっても
ここのところを親しめば
神様への奉仕となるばかりの
愛でもがそこですまされるというもの

この生活の肩掛(かたかけ)や
この生活の相談が
みんな私に叛(そむ)きます
なんと藁紙(わらがみ)の熟考よ

私はそれを悲しみます
それでも明日は元気です
 

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浮浪歌

 
暗い山合(やまあい)、
簡単なことです、
つまり急いで帰れば
これから一時間というものの後には
すきやきやって湯にはいり
赤ン坊にはよだれかけ
それから床にはいれるのです

川は罪ないおはじき少女
なんのことかを知ってるが
こちらのつもりを知らないものとおんなじことに
後を見(み)後を見かえりゆく
アストラカンの肩掛(かたかけ)に
口角の出た叔父(おじ)につれられ
そんなにいってはいけませんいけません

あんなに空は額(ひたい)なもの
あなたははるかに葱(ねぎ)なもの
薄暗(うすぐら)はやがて中枢なもの

それではずるいあきらめか
天才様のいうとおり

崖が声出す声を出す。
おもえば真面目不真面目の
けじめ分たぬわれながら
こんなに暖い土色の
代証人の背(せな)の色

それ仕合せぞ偶然の、
されば最後に必然の
愛を受けたる御身(おみ)なるぞ
さっさと受けて、わすれっしゃい、
この時ばかりは例外と
あんまり堅固(けんこ)な世間様
私は不思議でございます
そんなに商売というものは
それはそういうもんですのが。

朝鮮料理屋がございます
目契(もっけい)ばかりで夜更(よふけ)まで
虹や夕陽のつもりでて、

あらゆる反動は傍径(ぼうけい)に入(い)り
そこで英雄になれるもの
 

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冬と孤独と

 
新聞紙の焦げる匂(にお)い
黒い雪と火事の半鐘(はんしょう)――
私が路次(ろじ)の角に立った時小犬が走った
「これを行ったらどんなごみためがめつかるだろう?」
いろはにほへと…………
   

(注)原文には、「ごみため」に傍点がつけられています。

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(人々は空を仰いだ)

 
人々は空を仰いだ
塀が長く続いてたために

天は明るい
電車が早く通ってったために

――おお、何という悲劇の
因子に充ち満ちていることよ
 

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真夏昼思索

 
化石にみえる
錯覚と網膜との衝突
充足理由律の欠乏した野郎
記憶力の無能ばかりみたくせに
物識(ものし)りになったダダイスト
午睡(ヒルネ)から覚めました
ケチな充実の欲求のバイプレーにジレッタニズム
両面から同時にみて価値のあるものを探す天才ヒステリーの言草(いいぐさ)
矛盾の存在が当然なんですよ
ジラ以上の権威をダダイストは認めませぬ
畳をポントケサンでたたいたら蝿が逃げて
声楽家が現れた 
 

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